ブロックチェーン技術ですべての人に金融サービスを

ブロックチェーン技術というと、ついついデジタル資産を通じた暗号通貨、トークン、およびクラウドファンディングばかり考えがいってしまうこともあるでしょう。しかし、このような用途は複数の業界や組織を変えることができるこの技術の一部にすぎません。インターネットと同じように、ブロックチェーン技術には、社会的影響を生み出すことで世界中の何十億という人々の生活を変える能力を持っています。このため、医療、教育、サプライチェーン管理、保険、金融、寄付などのさまざまな業界で、世界中の多くの企業がブロックチェーン技術を模索しています。

現在、ブロックチェーン技術の主な特長の1つは、銀行口座を持たない人々が銀行を利用できることです。世界銀行によると、世界のほぼ半分が1日当たり、5.5米ドル未満で暮らしています。インドやアフリカの一人当たりGDPも絶望的に低くなっています。さらに、2018年の 「世界の富の推移」 と言うレポートを見てみると、世界中の個人資産の大部分がますます少数の手に集中しているという結果が出ています。お金を借りることもできない人々の多くは、銀行サービスを直接利用できない極めて貧しい農村地域に住んでいます。また、そのような人々は通常は信用情報がないため、従来の金融システムでは借入ができない場合があります。

この様な複雑な状況下で、ブロックチェーン技術は本当にそれを必要としている人々のもとまでどのように金融サービスを提供し、金融包摂を進めることができるのでしょうか。

1. 暗号通貨で手数料削減

世界中の人々がより安く、より速くお金を使って交換できるように役立ちます。銀行口座を持つ富裕層はあまり送金サービスを必要としない一方で、出稼ぎ労働者を抱える貧しい地域の人々は収入を家族に送金する際に法外な手数料を毎回とられていました。暗号通貨はこの高い手数料の削減することができます。

2. 仲介者不要のシステム

自動化、分散化された安全な取引方法により、ローンの申し込みや電信送信の際の仲介コストを大幅に削減できます。

3. 決済時間の短縮

ブロックチェーン技術は二重支出の問題を防ぎつつ、取引をリアルタイムに追跡することで、決済時間を短縮しエラー処理をなくすことができます。

4. デジタルアイデンティティ付与

銀行口座を持たない多くの人々は支払い方法がないため身分証明書を手に入れることすらできません。ブロックチェーンベースのアイデンティティーは一般的な文書化を必要とせず、何十億もの人々が公共のブロックチェーン上で簡単に識別できるようになります。これにより、ブロックチェーン上で信用情報を容易にリンクできるようになり、銀行口座を持たない人も金融サービスを利用できるようになるため、商業銀行にとって全く新しい可能性が開かれます。Banquは、個人および財務活動のさまざまな記録で構成される個人のデジタルプロファイルを作成できるようにすることで、このプロセスを支援しています。これらのプロファイルは、正当なID情報として金融機関に広く受け入れられるでしょう。

5. 公共支出の透明化

ブロックチェーン技術は、金融包摂を促進するために利用されるべき政府の公共支出に透明性をもたらすことができます。資金がどのように効果的に配分され、使われているかを追跡できるようにすることで、ブロックチェーン技術は汚職や資金の不正利用といった典型的な問題をなくすことができます。

分散型公共ブロックチェーンは、金融包摂を可能にする枠組みを提供しており、また明確なインセンティブがあるため、金融システムの既存の関係者もこのプロセスに参加できます。世界銀行の報告によると、2020年までに銀行口座を持たない人々による新興市場の中で銀行が生み出す収入は3800億ドルになると推定されています。また、同報告書でのブロックチェーン技術は国境を越えた支払い、証券取引、規制遵守に起因する銀行のインフラ・コストを2022年までに年間15~20億米ドル削減する可能性があると述べられています。さらに、低所得国における携帯電話の普及率が50%を超えているという報告書に記載された事実を考慮すると、ブロックチェーン技術と直接相互作用するモバイルアプリは大量の新規顧客を生み出す可能性があります。

ではその欠点は何でしょうか? 金融包摂のためのブロックチェーン技術の大規模な採用が遅れる可能性のあるいくつかの例を挙げます。

1. 個人情報のセキュリティーとプライバシー

公共ブロックチェーンや許可されたブロックチェーンの使用に関わらず、データセキュリティは最も重要であり、ブロックチェーンの専門家によって広く調査されているテーマです。

2. 規制の状況

従来の金融業界関係者がこの技術の活用に興味を持つようになるには、政府の規制が必要になります。元来金融業に関係なく、ブロックチェーン技術の探究に関心のある人なら興味を持ってくださる可能性がありますが、一部の銀行口座を持たない人々は従来の金融業界関係者からの支援を望むでしょう。

3. 広範囲での普及

ブロックチェーン技術は利用者と企業が新しい技術に適応する必要がありますが、それぞれ新規参入者にとってはなかなか仕組みや活用方法を理解するまでに時間がかかるかもしれません。

4. 初期費用

上記で分析したように、ブロックチェーン技術は新たな収入を大量に生み出す可能性がありますが、その高い導入費用を考えた時、商業銀行が重い腰を上げるまでに時間がかかりそうです。しかし、銀行口座を持たない人は今後いつでも分散型の公的な選択肢を利用することができるようになるでしょう。

RSKでは、様々なパートナー達と協力して、銀行口座を持たない人々の金融包摂と彼らへの融資を促進しています。Circles of AngelsGivetrackBlockchain for Humanityは、ブロックチェーン技術を通じて世界中の人々を支援している良い例です。

原文:5 Reasons to Understand Why Blockchain Technology Can Promote Financial Inclusion

過去にCircles of Angelsとのパートナーシップについてご紹介した記事もございますので是非ご覧ください!