ブロックチェーンで社会に影響を

この記事ではブロックチェーンが今後の世界にもたらす影響について紹介します。

ブロックチェーン技術には、社会的影響をもたらし何十億人もの人々の人生を変える力があります。例として、 金融包摂の促進、生活必需品やサービス等の流通過程の明確化、デジタルアイデンティティの創出、科学・医療研究の褒賞等が挙げられます。スタンフォード大学の興味深い調査(ブロックチェーン技術の社会的影響を活用しようとする193機関を分析したもの)の報告書によると、これらイニシアチブの55%が2019年初め頃までに実現され、人々に利益をもたらす見込みです。

また、興味深いことに、人々が関心を寄せるプロジェクトが健康・金融包摂・エネルギーと環境・寄付・民主主義とガバナンス・農業に関連していることも、同報告書で明らかとなりました。一方、現在は支払いと送金(25%)・記録と実証(26%)の分野でで最も広く利用されていることもわかりました。ブロックチェーンの主な利点として人気が高かったのは、リスクや詐欺の削減(38%)・効率アップ(24%)でした。

これらの情報から、近い将来にブロックチェーン技術は様々な方法で世界中の人々を救える可能性があることが分かります。この技術の可能性をさらに理解するために、様々な業界における活用例をおさらいしましょう。

医療業界

ブロックチェーン技術が医療業界にもたらす利益:

  • 生産から提供まで追跡可能なトレーサビリティ、偽薬品の防止
  • カルテの保管・アクセスの改善
  • 電子カルテのアクセス容易化
  • 医療資格の記録追跡
  • 科学研究の褒賞

例えば、医薬サプライチェーンにおける分散型ネットワークであるMediledger プロジェクトでは、製品1つ1つの流通経路を完全明確化することができます。似た目標を掲げる Farmatrustはコスト削減や偽商品の排除に取り組んでいます。Medrecは他の医療機関と協力し、ブロックチェーン技術を利用して患者さんの受診歴をまとめることを徐々に進めています。また、Modsenseは多くの薬品にとって重要な室温管理を行います。これらは一例にすぎませんが、いずれも、ブロックチェーンが医療分野において様々な利用方法があることを示す良い例だといえるでしょう。

身分証明と金融機関へのアクセス

以前ブロックチェーン技術による金融包摂促進を検証した際、何十億人もの人々にアイデンティティを与えることが全体過程の中で最優先だとわかりました。BanquAid:TechSecure Keyなどのプロジェクトをみれば、ブロックチェーン技術を利用して金融機関で利用可能なデジタルアイデンティティを提供し、かつ同時にコストも削減できることが一目瞭然です。

また、E-stoniaではブロックチェーンをガバナンス、租税、居住、選挙など様々な方法で使用しています。BitpesaIBM Blockchain World Wireも、ブロックチェーンを利用して送金サービスの仲介料を削減し海外送金を数秒で実現している良い例の一つです。さらに、Mojaloopはブロックチェーン技術を利用して金融包摂を実現する方法を明示する興味深い例です。

寄付

ブロックチェーンを利用すれば、寄付がどこからどこへ行くのか、その経路を明確化することができます。この業界において、透明性の問題は常に課題とされてきました。寄付金が実際にはどのように使われているか、また、センシティブな情報への限定されたアクセス等の課題は、ブロックチェーンで全て解決できます。例えば、 HumaniqRootprojectGivetrackCircles of AngelsBlockchain For Humanity などが良い例として挙げられます。

食料生産

この技術を食品業界でどのように利用するか考える際、カギとなるのはトレーサビリティでしょう。食品の流通経路をたどり、信頼性を保証するために利用できます。特に、オーガニック・ビーガン・ベジタリアンのお客様が簡単に食品の品質を確かめられる方法を提供することで、生産者は利益を得ることができます。これは、コーヒー・魚介類など他の食品に加え、鉱物や木材、綿など、思いつくすべての原料についても同様です。興味深い例として、GrassrootsBext360が挙げられます。

再生可能エネルギー

グリーンエネルギーの生産者にとって、クレジットのアクセス制限が大きな足かせとなっていました。ブロックチェーンを利用すれば、この分野の専門家による事前分析に基づいて集団資金調達ができます。また、将来トークン化されるであろう電力と引き換えに、水・太陽光・風など自然資源を利用したエネルギーの大量生産も可能となります。

エネルギー生産や取引にブロックチェーンを導入した例として、WepowerElectrify AsiaGrid Singularityなどが挙げられます。さらに、この技術で、電力供給網を持たない人々が生産過剰電力をご近所さんとシェアしたり、売ったりできる仕組みを整えることができます。Solshareはとても良い例として挙げられるでしょう。

RSKは、ブロックチェーン技術が何十億人もの人生を向上させられると信じています。Circles of AngelsGivetrackBlockchain for Humanity などは、価値のインターネット実現のための基礎づくりをどのように進めているか示す良い例です。

原文:Blockchain For Social Impact: An Overview of The Current Industry Status