RSKプラットフォームの最新ロードマップが公開されました。今回の発表を通じて開発者、研究者、パートナー、そしてすべてのRSK/RIFコミュニティーメンバーたちとの、この技術で社会をより良くしていくためのコミュニケーションが活性化することを期待しています。
このロードマップはRSKの取り組みの優先順位を公表するものです。コミュニティーとの交流の中で、私たちのビジョンに近づくことができる新な技術が登場する場合、この優先順位は変更になる可能性があります。
ロードマップ概要

画像:公式サイト
近い内に計画している作業は、6つの主要なカテゴリーに分かれています。
- ビットコインネットワーク拡大:私たちは続けてビットコインのネットワーク機能を拡大し、ビットコインユーザーがRSKスマートコントラクトにアクセスしやすくする方法を模索しています。
- 金融包摂:私たちはビットコインと分散台帳技術 (DLT)が、価値の保存と移転のための分散型でプログラミング可能な新たなネットワーク、価値のインターネットの基礎を築く可能性を秘めている信じています。そのため、このビジョンに沿ったユースケースの採用を促進できる機能を常に探しています。
- 分散化:耐障害性、耐攻撃性、非集中型のプラットフォームを提供し、さらに分散化されたプラットフォームを推進するための取り組みを継続します。
- スケーラビリティ:スケーラビリティはブロックチェーン技術の大衆普及を阻む最も大きな障害のひとつです。この問題の解決は現在、様々な角度と技術によって取り組まれていますが、オンチェーンスケーリングの改善が私たちがこれからも取り組んでいく方法です。
- セキュリティー:サイバー攻撃による深刻な被害を回避するためには、RSKスマートコントラクト・ネットワークが安全で信頼できるものであることを確認する必要があります。
- イーサリアム互換性:イーサリアムのスマートコントラクトとの互換性を提供することで、開発者が既存のスキルを活用し、好きなツールを使用できるようにすることが、私たちの最大の関心事です。
今後18ヶ月のロードマップの詳細を説明していきます。
2019年7月ーWasabi 1.0.0リリース

Wasabiの今後のネットワークアップグレードは次の主要分野に重点を置いています。
ストレージの改善:
必要なブロックチェーンのストレージスペースを大幅に削減すると同時に、ワープシンクやガベージコレクションのこれからのアップデートの基盤をつくります。
フェデレーション・セキュリティーの改善 (HSM 1.1):
新しいフェデレーションメンバーがさらに安全な方法でオンボーディングできるようにする、新たなセキュリティーと使いやすい機能を提供します。
VMオペコード CREATE2 & Shift:
イーサリアム・スマートコントラクトとのハイレベルな互換性を提供します。CREATE2、SHR、SHLは最近イーサリアム・バーチャルマシン (EVM)に追加されたバーチャルマシン・オペレーション(オペコード)であり、RSKでもサポートされます。
トランザクション追跡法:
ネットワーク上で実行されたものとまったく同じ方法でトランザクションを実行することによって、開発者がトランザクションの内部実行を検査できる非常に有用で貴重なツールです。
2019年第3四半期
ノード同期化の改善:
ブロックチェーンのロングシンクとワープシンクの導入によるパフォーマンスの改善により、ユーザーは既存よりさらに短い時間でノードを使用できるようになります。
メタ・トランザクション:
メタ・トランザクションの実装によって、ユーザーはガスプライスについて悩む必要がなくなり、UXがさらに良くなります。
ガベージコレクタ―:
ノードによって保存された不要な古い情報を削除することで、必要なブロックチェーンストレージを削減させます。
イーサリアム・ネイティブコントラクト:
RSKバーチャルマシンにはないEVMコンパイル済コントラクト(ペアリングチェック、楕円曲線オペレーション)のサポートを追加する予定です。
2019年第4四半期
ブロックチェーン・コンプレッション:
ノードを実行するためのリソースをさらに最小化し、第三者が独自のインスタンスを実行することをより簡単にします。
明確な手数料:
絶えず変化する手数料は、エンドユーザーに大きな金銭的打撃を与える恐れがあるため、ユースケースを実装する際の大きな障害になっています。
ピアスコアリング (Peer Scoring):
ネットワーク上の不適切なノードを孤立させるセキュリティー機能です。
ツーウェイペグの使用性改善:
現在のツーウェイペグ実装は使用性の観点から大きな欠点を持っていました。私たちの目標は、ツーウェイペグをより使いやすくすると同時に、RSKスマートコントラクトへのBTCの直接的な資金提供など、現在サポートされていないユースケースを可能にすることです。
ノード自動アップデート:
すべての重要なノードで最新バージョンのソフトウェアを実行するということは、ネットワークのセキュリティーにとって重要な条件です。この機能(選択制)はこのような方向性を持っています。
2020年前期
ストレージレンタル:
求められるストレージスペースの急増には、いくつかの方法で対応する必要があります。ブロックチェーンの圧縮機能を補完するストレージレンタルは、適切な経済インセンティブ制度を確立し、既存のユーザーが将来のユーザーを犠牲にする行為である、ブロックチェーンストレージの悪用をできないようにします。これによって持続可能なブロックチェーンを実現します。また、ブロックの高速検証はそのままで、標準的なノートパソコンで行うことができるようになります。次のステップは、ストレージ休止状態 (storage hibernation)と呼ばれる、古い未使用データを開放してブロックチェーンの状態をさらに縮小することです。
フェデレーションセキュリティー強化 (HSM 2.0):
HSMに新しいセキュリティーを導入し、ツーウェイペグ・コントラクトに起因する正しい署名要求と偽造品を、デバイスが区別できるようにします。
分散型フェデレーション:
フェデレーションメンバーはメンバーを自主的に決定/投票することができ、プラットフォームの分権化を促進します。
2020年後期
フルノード報酬:
RSKフルノードを実行しているユーザーにインセンティブを与え、ネットワークの分散化を促進します。
LTCP (Lumino Transaction Compression Protocol):
ルミノ・コンプレッションプロトコルはトランザクションサイズとブロックチェーン・ストレージを縮小すると同時に、ネットワークのトランザクション処理速度を高速化します。
ドライブチェーンの業界基準:
ドライブチェーンの基準が確立され、実装されれば、RSKのようなサイドチェーンはもはやフェデレーションによるツーウェイペグを必要としなくなります。これによってこれまで必要だった中心点を排除しながらも、ネットワークセキュリティーの向上を図ることができます。
ネイティブエンベロープ:
元はガソリンスタンドネットワークに取り込まれていた、メタ・トランザクションの代わりになるオンチェーンです。
原文:RSK Roadmap: Upcoming Features for Smart Contracts on Bitcoin