世界中のコミュニティーから「RSKはEthereumとEOSとどう違うのか?」という質問を多く受けています。ここでは、RSKチームがRSKとEthereum、EOSの違いについて分析していきます。
Ethereumの特徴
「次世代スマートコントラクトと分散型アプリケーション・プラットフォーム」(原題:A Next-Generation Smart Contract and Decentralized Application Platform)というタイトルの論文で、ヴィタリック・ブテリン氏(Vitalik Buterin)は、Bitcoinを通じた資産価値の保存以外にも、さまざまな用途でブロックチェーン技術を模索できる可能性について既に言及しています。彼のホワイトペーパーでは以下のように記述されています。

「しかし、その壮大な Bitcoin の実験における、より特筆すべき重要部は別の所にあります。それは分散型大衆決定のツールとして、まさにその基礎をなす Blockchain の技術であり、急速に人々の注目を集めつつあります。
一般的に、blockchain テクノロジーを引用している Bitcoin の代替アプリで、blockchain 上の電子財産を実装したものとして:
- 一定取引量のある通貨や金融商品をあらわすもの ( colored coins )
- 基礎となる物理デバイスの所有権 ( smart property )
- ドメインのような投資対象外の財産 ( Namecoin )
があり、より複雑なアプリケーションとしては以下のものが挙げられます:
- (役人や銀行員に取って代わり)、コーディングであらゆるルールを実装し、個々の電子資産を管理するもの( smart contracts )
- 上記のスマートコントラクトを blockchain 上で実装したもの ( DAO )
Ethereum が提供しようとしているものは、チューリング完全なプログラミング言語の完成品を blockchain に埋め込み提供することにあります。この言語は”contract”を生成するために使用され、”contract”とはあらゆる関数をプログラムしたものです。これにより、ユーザーは上記の全てのシステムを実装することが可能で、われわれがまだ想像すらしていない多くの可能性が、論理を秘めし数行のコードを書き上げるだけで実現できるようになります。」
ー [Japanese] White Paper, GitHubより
Ethereumはデジタル資産としてつくられていない
Ethereumは本来、暗号通貨やデジタルゴールドとして設計されたものではありません。その代わりに、開発者がEVM(Ethereum Virtual Machine)を通じてブロックチェーン技術の利点を生かしたスマートコントラクトのコーディングができるように設計されています。 Ethereumのエコシステムでは、計算コストの支払いに使用されるトークンとしてEther(ETH)が知られています。
それではBitcoinとEthereumの主な違いとはなんなのでしょうか?
Bitcoinはもともと価値を保存するように設計されていたため、通常「デジタルゴールド」として認識されます。一方、Ethereumはブロックチェーンでの分散型アプリケーション(dApp)の開発プロセスを簡素化するように設計されています。創設以来2100万人の最大供給というリミットを持っているBitcoinとは異なり、Ethereumはインフレ状態にあります。ETHは2014年の前売りですべての当事者が合意した条件によれば、毎年1800万が発行されるという設定が決まりました。これを書いている時点で、Ethereumが提案したものとBitcoinが異なることを示すその他の関連した特徴は次の通りです。
- ブロック(およそ15秒)ごとに3つのETHがマイナーに生成されるので、コインベースの報酬は完全に異なります(Bitcoinネットワークでは現在12.5 BTCの報酬)。
- ブロック生成の解決策を見つけることができたにも拘らず、ブロックに含まれなかったマイナーに、0.625-2.625ETHがに送られることがあります(Ommer ⦅おじ/おば⦆ブロックと呼ばれる)。
- BitcoinはSHA-256アルゴリズムを使用したPOWプロトコルの下で動作しますが、EthereumはフルPOS(Proof of Stake)アルゴリズムに移行することによってインフレ率を制御することを計画しています。 POSプロトコルでは、暗号通貨/トークンの所有者は自分の資産をステーキングすることによって報酬を受けることができます。基本的に、検証ツールとして利用することで検証プロセスに貢献できます。
Ethereumの最終目標は、CBC Casperと呼ぶあれる完全なPOSプロトコルへの移行です。詳細は、Vlad Zamfirのビデオを参照してください。
Ethereumは、暗号資産によるクラウドファンディングのためにブロックチェーン業界で広く利用されてきました。多くのプロジェクトが、2017年から2018年にかけて投資者にERC-20ユーティリティー・トークンを与える形式のICO(Initial Coin Offering)を通じて、数百万ドルを調達しました。 Bitcoinは当初、資金調達のためのプラットフォームとして使用することを意図して設計されていませんでしたが、RSKはBTO(Bitcoin-Backed Token Offerings、ビットコインベース・トークンオファリング)を使用してこれを可能にします。詳細は後に記述します。
EOSとは?

EOS、投票性によるブロック生成
BitcoinとEthereumの主な違いが分かったところで、今度はEOSブロックチェーンを簡単におさらいしてみましょう。
よく知られているように、BitcoinのネットワークではマイナーがPOW (Proof-of-Works) プロトコルの下での取引処理を担当しています。また、EthereumはPOWからPOS (Proof-of-Stakes) への完全移行に取り組んでおり、トークン保有者が検証者になることができます。一方で、EOSではDPOS(delegated proof-of-stake, 委任証明)というプロトコルが使用されます。このプロトコルでは、トークンホルダーの投票によって選定される21のブロック生産者(Block Producers, BPs)が存在し、EOSトークンを保持している人なら誰でもブロック生産者を誰にするか投票することができます。ブロック生産者は、ユーザーが任意のサイクルで投票することができ、他のブロック生産者が常に順位を脅かしているため、誠実に行動するよう奨励されます。

BitcoinとEthereumとのもう1つの決定的な違いは、EOSがオペレーティングシステム (OS)に似たオーナーシップモデルで動作することです。また所有しているトークンの量は使用できるネットワークの量に関係しています。
これで、Bitcoin、Ethereum、およびEOSの間のいくつかの違いについての基本的な考え方を紹介したので、RSKサイドチェーンについて分析していきましょう。
RSKはここが違う
RSK, Bitcoinネットワーク上のスマートコントラクト・プラットフォーム
FAQで記述されているように、RSKはBitcoinネットワークによって保護された最初の汎用スマートコントラクト・プラットフォームです。 RSKはBitcoinの機能上で構築されており、スマートコントラクトの実装を可能にします。開発者がEthereumと同様のプロジェクトのためのにdAppsを開発できるのと同じように、RSKはBitcoinのネットワークのセキュリティを使用してスマートコントラクトを作成しながら、同時にOpenZeppelinを通じてEthereumのツールチェーンと標準コミュニティのテスト&レビューコードを使用できます。

画像:公式 Medium
RSKにはスマートビットコイン(RBTC)と呼ばれるBTCと1対1でペグされているネイティブコインがあります。Ethereumのブロックチェーンで計算コストの支払いにイーサ (ETH)を利用するのと同じように、RSKネットワークを使うときはRBTCを利用します。RBTCを生成する唯一の方法は、RSKフェデレーションによって保護されているBitcoinのブロックチェーン内のマルチアドレスにBTCを送信することです。 RBTCの生成プロセスはBTCからRBTCへの交換に完全に依存しており、なにもないところから生成されることはありません。これはEthereumおよびEOSトークンとの大きな違いです。
トランザクション
では、RSKネットワーク上のトランザクションを見ていきましょう。 RSKプラットフォームで実行可能な1秒あたりのトランザクション数は、ブロックのガスリミットと平均レートによって決まります。現在の平均ブロックレートは30秒に1ブロックです。採掘されたブロックごとに、マイナーはブロックのガスリミットを引き上げるために投票することができます。 RSKでのトランザクションは、過去のEthereumよりも圧倒的に安くなっています。
マイニング
それではマイニングプールはなぜRSKへ貢献に興味を示すのでしょうか?その理由は、マージマイニングによって、Bitcoinマイナーは設備を追加することなく、既存のインフラとプールで利益を得ることができるからです。 RSKは、マージマイニングを可能にし、Bitcoinマイニングのみで消耗されていた暗号化作業を、RSKネットワークを保護するために再利用しています。RSKスマートコントラクトは、RSKプロトコルに支払われたマイニング報酬の80%をBitcoinマイナーに割り当てています。
スケーラビリティ

最後にRSKのスケーラビリティを確認してみましょう。 RSKは、Luminoと呼ばれるスケーラビリティに対する独自の提案をしています。 RSK&RIFチーフサイエンティスト、セルジオ・ラーナー氏による原著論文に記載されているように、LuminoはLumino Transaction Compression Protocol(LTCP)によってスケーラビリティを向上させています。 LTCPは不要な電子署名を排除し、ユーザーによるプリセットを使用しているトランザクションを圧縮します。電子署名がRSKのトランザクションスペースの70%を占めることを念頭に置くと、このプロトコルがもたらされす価値の大きさを簡単に理解できるでしょう。そのため、Ethereumはスケーラビリティを担保する目的でシャーディングとPlasmaを応用するように、RSKはLTCPとLuminoプロトコルを使用した独自のアプローチをしています。
この投稿では、RSKとdAppを開発するために設計された他のプラットフォームとの多くの違いについて説明しました。ご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。質問は Diego ZaldivarおよびSergio Lernerとの最近のAMAセッションを読んだ後に行って頂けると幸いです。また、次のリンクもご参照してください。https://github.com/rsksmart/tutorials/wiki