ラテンアメリカのFacebookを買収した理由

ビットコインを利用したソーシャルマーケットプレイスはどのようなものなのでしょうか?

簡潔に言うと

  • IOV Labsは2019年、スペイン語ソーシャルネットワークTaringaを買収
  • Taringaを、分散型のピアツーピアのインフラを紹介する「ソーシャルマーケットプレイス」へと変貌させる計画
  • IOV Labsのビジョンは、グローバル金融システムにアクセスできない人々のための金融システムを作ること

ビットコインネットワーク上でのスマートコントラクトの利用拡大に取り組んでいるIOV Labsは、昨年9月に3000万人のユーザーがいるとされるアルゼンチンに拠点を置くソーシャルネットワーク「Taringa」を買収しました。

ConsensusにてIOV LabsのCEOであるディエゴ・グティエレス・ザルディバール(Diego Gutierrez Zaldivar)氏は、当時この取り組みには理由があると話しています。Facebookと同様に、Taringaは暗号通貨に興味を示しており、MakerDAOやXapoとの提携を進めていたのです。そんな中、IOV Labsのビジョンは、単に代替決済システムやステーブルコインを作るだけではなく、もっと大きな事を考えていたのです。

ディエゴ氏は、この買収がIOV Labsの既存のスマートコントラクトプラットフォームであるRSKRIFフレームワークとどのように適合するのか、一般の人にはまだわかりにくいと認めており、ディエゴ氏によれば、これらはすべて「価値あるインターネット」を実現させるための大きな計画の一部であると話しています。

その背後にある理由として、Facebookが最初にLibra(大手ソーシャルメディアの意欲的な暗号通貨プロジェクト (最近はだいぶ意欲的でなくなりました。)を推進したように、IOV Labsがビットコインスマートコントラクトゲームに参入したのです。

ディエゴ氏はこのように述べています。
「私たちは数十億人の従来の金融システムから疎遠だった人々にサービスを提供することができる金融システムを可能にすることを目標としています。」

「価値あるインターネット」を実現するためには、まずはビットコインをベースレイヤーとすることから始めなければりません。ビットコインは強力なハッシュ力を持つ価値の貯蔵庫であり、検閲に強いピアツーピアネットワークとして機能します。

しかし、イーサリアムがスマートコントラクトの概念を中心に構築されたのに対し、ビットコインは常にピアツーピアの送金を中心にしてきました。「ビットコインを拡張して本格的な金融サービスを提供できるようにするためには、同じセキュリティインフラストラクチャと同じ通貨を使用して、その上に構築されるチューリング完全な、あるいは汎用的なスマートコントラクトプラットフォームが必要でした。」そのプラットフォームであるRSKは、ビットコインのセットにオープンファイナンス(DeFiとほぼ同等)を導入しています。

開放性が鍵であり、「誰もがスマートフォンで口座を開設し、アプリケーションをダウンロードし、これらすべての金融サービスにアクセスすることができます。」

ただし、ディエゴ氏はスマートフォンの所有権の欠如が依然として多くの人にとって金融アクセスへの大きな障害となっていることには触れませんでしたが、待ってください。これは暗号通貨ですので、より多くのレイヤーがあります。

Layer 3はRIF(RSKインフラストラクチャフレームワーク)で、「RSKとビットコインの上に構築されたP2Pインフラストラクチャのスイート 」であり、基本的にはピアツーピアのシェアリングエコノミーなのです。しかし、ディエゴ氏は、ユーザーの評判を他のシェアリングエコノミーに移植することができ、特定のネットワークに縛られない点が他のシェアリングエコノミーモデルとは異なると述べています。

言い換えれば、オープンなピアツーピアのインフラストラクチャを構築して、ユーザーが実際に支払いをしたり、データを保存したり、個人的に通信したりできるようにするのです。そして、ユーザーはそのデータに対する一定のコントロールを保持できるのです。しかし、世界中のインフラやプロトコルは、ユーザーがいなければ意味がありません。そこでTaringaの出番です。

人気のあるソーシャルプラットフォームを買収することで、Taringaはアルゼンチンで最も訪問されたウェブサイトのトップ30にランクされ、メキシコとスペインではトップ200にランクされています。IOV LabsはP 2 P経済を実運用中のネットワークに移行することができるようになります。

ディエゴ氏はこのように述べています。
「私たちの目的は、Taringaをソーシャルネットワークから人々が構築する評判のアイデンティティによって推進されるソーシャルマーケットプレイスにすることです」

「ソーシャル・マーケットプレイス」とは何かは明確ではありませんが、それはまだ誰も良いモデルを作っていないからかもしれません。しかし、一般的なアイデアは人々のプライバシーとデータの使用がほとんど企業のボトムラインの気まぐれである中央集権的なインターネットサイト(例:FacebookやAmazon)に対抗するものを作ることであります。

「この新しいソーシャルネットワークは、純粋にピアツーピアのインフラサービス、ピアツーピア経済を中心に構築され、ユーザーが自分のデータ、アイデンティティ、プライバシーのコントロールを取り戻すことができるようになります。」

このプレゼンテーションの中で、ディエゴ氏はIOV Labsの進捗状況を更新するために毎年Consensusに戻ってくると述べています。来年は別のレイヤーを導入するかもしれない。あるいは、Taringaは暗号通貨ファンが待ち望んでいた分散型ソーシャルネットワークであることを証明しただけかもしれません。


原文:https://decrypt.co/28652/why-bitcoin-startup-iov-labs-bought-latin-america-facebook-taringa By decrypt