企業やプロジェクトを立ち上げるときに、色々な人たちにまずその企業を「知ってもらう」ということはとても大切なことです。そこで多くの近代企業がマーケティング戦略の一貫として、デジタル広告プラットフォームの活用に膨大な資産を費やしています。しかしこのような状況において、とても長い期間にわたって広告主を悩ましている2つの問題が存在しているのです。
デジタル広告プラットフォームが抱えている問題
まず1つ目はボットによる偽トラフィックデータの問題、そして2つ目はブランドセーフティーの問題です。全米広告主協会(Association of National Advertisers, ANA)によると、詐欺ボットによる被害額は2017年に世界でおよそ65億USドルに達しており、業界全体で大きな問題となっています。Facebook、Google、LinkedIn、Tweitterなどの主要メディアプログラム関連会社は、この偽トラフィックによる被害を削減するために長年にわたり技術革新を行っていますが、問題は未だ解消されていません。
2つ目のブランドセーフティーの問題も、これに類似しています。DSP(Demand-Side Platform)やトレードデスクを利用している多国籍企業・銀行などは、自身のブランド広告がどこでディスプレイされているかを自社でモニターするようになってきています。いささか疑わしいブログやビデオに表示され、ブランドイメージが損なわれることを危惧しているのです。主な問題は以下の3つにまとめられます。
- 仲介業者(第三者DSPやトレードデスク代理店など)に支払っている高い「仲介手数料」への不満
- 広告がいつ、どこで、どうして写し出されるのかについての、より透明性のあるデータの追求
- 望まないサイトに広告が表示され、ブランドイメージが損なわれる危険性
企業はデジタル広告について、これまで以上に透明性を求めており、また、その権利を主張しています。適材適所で広告されることでターゲットを絞り、ブランドイメージが守られることを望んでいるのです。
果たして、ブロックチェーンはこのニーズに応えられるのでしょうか?既にブロックチェーンを活用し、これらの解決を目指しているプロジェクトはあるのでしょうか?これらの問いの答えは、ラッキーなことに、「イエス」です。ブロックチェーンは、このようなブランドのデジタル戦略にとどまらず、デジタル広告業界の主要な問題を解決します。広告主、ユーザー、広告作成者、パブリッシャーなど、すべての重要なプレーヤーに影響を与えることでしょう。
上述の通り、従来のデジタル広告プラットフォームの質や透明性に否定的な広告主も少なくありません。
ブロックチェーンによるソリューション

一方、ブロックチェーンを使えば、次のようなメリットがあります:
A –いつ、どこで広告が映し出されるのかをはっきりと知ることができる。インプレッション数(表示回数)、クリック回数、プレースメント数はブロックチェーン上にトランザクション情報として残される。
B – 制作者からトークンで直接広告を購入することで、仲介手数料を削減できる。
C – クリックするたびにユーザーエージェントやIPの情報をブロックチェーンに取り込み、ボットトラフィックの被害を防ぐ。
これら3つのメリットによって、広告主の立場はより高いものになるでしょう。透明性が上がり、予期せぬトラブルを防ぐことが可能になります。このように、ブロックチェーンを使ってデジタルキャンペーンの動向を広告主自身が知ることができるので、業界全体のレベルアップにつながります。
デジタル広告業界におけるもうその他のプレーヤーは、コンテンツ制作者とユーザーですが、コンテンツ制作者を苦しめてきた主要問題の一つに、コンテンツの非収益化が挙げられます。これこそまさに、Steemit や Basic Attention Token などのブロックチェーンに基づくプロジェクトが注目を集めている背景です。ブロックチェーンは、従来のデジタル広告エコシステムを完全に再構築します。トークンを使ってコミュニティが直接コンテンツ制作者に報酬を与えるシステムが生まれたので、制作者がコンテンツ収益の上げ方を企業方針に合わせなくてもよい状況となったのです。つまり、制作者の収入は広告主との間に介在する仲介企業の利益に左右される事が無くなり、人々がそのコンテンツの価値を感覚的に判断し直接制作者に報酬を与えるということです。コンテンツの収入全額がそのまま、仲介手数料なしに制作者の手に渡ります。

終わりにあたりユーザーについてふれますが、ユーザーは広告とプライバシーの侵害に疲弊しています。広告を見たいか否かを決める権利と閲覧履歴プライバシー保護の両方を求めています。Basic Attention Tokenはこれらユーザーの意見を尊重し、 Braveブラウザ上においてこの問題解決に貢献しようとしています。このブラウザはより高いレベルのプライバシーをユーザーに提供するだけでなく、見たい広告の内容もユーザーが選択できるようになっています。(広告なし、BAT関連広告、一般広告から選べます。)さらに、(ユーザーグロースプールのエアドロップからの)新しいBATトークンを定期的にユーザーウォレット内に提供することで、BATはまったく新しいエコシステムを創り出しました。それは、ブラウザを使用することでユーザーが報酬を得られ、またその報酬を好きなコンテンツ制作者に寄付できるという仕組みです。
つまり、これまで見てきたように、ブロックチェーンは広告主、ユーザー、そしてコンテンツ制作者全員にとってウィンウィンの関係が成り立つのです。なぜなら、かつてのデジタル広告業界の不効率を解消し、ブランド保護・ボットトラフィックのリスクを軽減し、コンテンツ制作者とユーザーの両方のコンディションを著しく改善することができるためです。大手デジタル広告企業は明らかにブロックチェーンが彼らの従来のビジネスモデルに与える重大な影響について警戒しています。そのため、デジタル広告業界ではどのようにブロックチェーンを実用化していくかについて、調査が進められています。
このような背景において、スマートコントラクトの運用を目指し、ビットコインのブロックチェーンを利用したデジタル広告関連プロジェクトの開発を考えている開発者に、RSKが新たな選択肢として浮上します。Solidityプログラミング言語のすべての能力を駆使して、RSKはエンド・ツーエンド(E2E)プロジェクトの制作を後押ししています。
このトピックに興味をお持ちの方は、以下のプロジェクトも併せてご覧ください。 MetaX, Adchain & Basic Attention Token.
原文:How Can Blockchain Technologies Transform the Digital Advertising Landscape? by RSK Labs