電子通貨でよりグローバルな経済へ

21世紀の出来事はスマートフォンやタブレット、ソーシャルメディアの出現、人工知能など常にテクノロジーの進歩と共にありました。

その中のひとつとして暗号通貨の基礎となっているブロックチェーン技術の登場も挙げられるでしょう。イノベーションは過去数十年の人間の礎のようなものであり、テクノロジーは私たちの日常生活で非常に重要な役割を担っているため、多くの国々がデジタル化と研究、開発をより強化する経済戦略をとり続けています。

シンガポールのような先進経済は、暗号通貨の規定に対して協力的かつ厳密なアプローチで、ブロックチェーンのような新興テクノロジー受容の最前線として躍り出ました。

その革新的なアプローチで新興テクノロジーに向き合うことで、シンガポールでは着実にその地域におけるブロックチェーンハブとしての地位を固めていき、当局も支援や資源を提供して実験を促進することで、この分野に携わる人々も自信をもって研究、開発を進めることができるようになっています。

2018年の世界の技術革新力ランキングで5位を獲得したシンガポールは先進的でイノベーション主導型の経済、社会にするために、最先端のテクノロジーを開拓してきました。

実際、シンガポールには2016年に始まったシンガポール金融管理局(MAS)のプロジェクトUbinのような分散元帳テクノロジーに関する初期の組織的調査がいくつか存在します。またライオンシティには、この地域でも有数のブロックチェーン研究ラボであるシンガポール国立大学のCRYSTALセンターが2018年後半に設立され、最近では東南アジア初の高等教育機関としてRipple大学ブロックチェーン研究イニシアチブ(UBRI)に参加しました 。

アジア太平洋地域全体は長い間、技術革新の先頭に立ってきました。例えば、欧米諸国でまだ携帯が目新しいものであった頃に、ASEAN諸国ではすでに携帯は普及していましたし、HDTVが米国に入ってくる何年も前からアジアの一部地域では標準となっていました。同様に、アリペイやグラブペイのようなアプリケーションの先導によって、モバイル決済が世界のどこよりも早く日常生活に浸透しました。このような過去の例が当てはまるとすれば、暗号通貨史上初の大ヒットはアジア太平洋地域で起こりうるといえるのです。

また低開発経済にとって、暗号通貨とその基盤となる技術は、今日の既存の金融システムから排除されてしまった何十億という人々のニーズを満たす可能性もあります。アルゼンチンやベネズエラなどで見られたように、暗号通貨は経済に「穴」をあけることなく、むしろ、個人を保護し、厳しい環境でも一個人が成功できるような新たな扉を開きます。ベトナムのような国では、金融機関によるサービスが受けられない銀行口座を持たない人々に、暗号通貨の影響が及んでいます。同様にフィリピンでは、暗号通貨への関心が急激に高まっており、現在500万人以上のユーザーが同国の暗号通貨取引所に登録しており、銀行口座を持たない顧客が請求書の支払いやデジタル資産の購入を行っています。

暗号通貨と他の変革的技術との間に類似点を見出すことは難しいかもしれないですが、モバイル決済とコンタクトレス決済(ICカードなどを利用した決済方法)が広く採用されていることから類推は得られるかもしれません。アジア経済で最も成功しているモバイル決済は効率的な技術で、携帯電話に財布を入れて、紙幣を折ったり、硬貨を数えたり、カードを通したりする必要がなくなります。

暗号通貨とブロックチェーンは同じような可能性を秘めていますが、その有用性はもっと広いです。スマートコントラクトでは、処理の完了時または特定の条件が満たされたときに自動支払を実行できます。ブロックチェーンは資産の移転を加速させ、例えば、不動産を購入するプロセスの面倒をずっと減らすことができます。また、毎日のように新しいユースケースが想定され、毎週のように実装され、多くの斬新なアイデアが将来も残る可能性があります。

ブロックチェーンと暗号通貨の将来的な活用方法として注目を集めているのものの多くは未だ個人利用の範囲ですが、アジア太平洋地域の企業と政府の両方がその可能性を探究し始めています。暗号通貨を禁止しているにもかかわらず、中国は世界で最も多くのブロックチェーン特許を保有しており、その一部はアリババや中国人民銀行などの大手企業が保有しています。

シンガポールでは、MASのプロジェクトUbinにより、国境を越えた支払いにおける中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の使用について、カナダ銀行との提携による実証実験をおこない、成功しました。一方、タイの国立電子コンピューター技術研究センターは、国の選挙プロセスをさらにデジタル化するためにブロックチェーン技術を利用した投票ソリューションに取り組んでいます。さらに暗号通貨の利用を大衆化するために、SamsungのGalaxy S10にも暗号通貨ウォレットが組み込まれています。そしてさまざまな業界からアプリケーションに至るまで幅広くブロックチェーンを調査することで、ブロックチェーンの利用が今日私たちが頼りにしている多くのテクノロジーインフラストラクチャに浸透するようになる将来が近づいています。

情報時代が始まって以来、それがインターネットであろうと、最初のパーソナルコンピュータであろうと、情報を根本的に形作る最初の技術的発明の到来は世界中に広められ、物理的な境界に制限されることなく、情報はシームレスかつ自由に流れました。

デジタル革命の次の段階に進むにつれ、ブロックチェーンはこれらの効果をさらに拡大しようとしています。これはネットワーク接続性と透明性を優先とし、出身や社会経済的地位にかかわらず、すべてのユーザーに等しく利益をもたらす方法であります。ブロックチェーンテクノロジーによって、私たちはついにインターネットの新しいパラダイムに到達するかもしれません。価値のインターネットは進行中であり、その最初のノードは東南アジアで展開する可能性ももちろんあります。

原文:Paper to programming: how digital currencies are globalising our economy by DIEGO GUTIÉRREZ ZALDÍVAR