本記事では、今年6月に開催されたRSKのCTO エイドリアン・エーデルマン氏のAMAの内容をご紹介します。
RSKとRIFの現在について
RSKアンバサダーの役割は何でしょうか?
RSKアンバサダーは、私たちとビジョンを共有する人々です。例えば彼らはビットコイン、ブロックチェーン、分散化された技術がより公平な社会を構築するための原動力であるということを広める手助けをしてくれています。さまざまなアンバサダーが色んな活動に焦点を当てており、開発者の間での技術促進を目的としているアンバサダーもいれば、企業や政府にRSKの使い方について助言しているアンバサダー、インキュベーションプログラムに取り組んでいるアンバサダーもいますが、みな共通して変化を起こそうと懸命に取り組んでいます。
RSKが今年達成したロードマップのマイルストーンはいくつありますか?
これまでに、2019年に4つの異なるバージョンのRSKをリリースしました。ORCHID v 0.6 .0と最近リリースされたWASABI v 1.0 .0 Previewです。前もって決まったリリース頻度はありませんが、常に新機能、バグ修正、セキュリティアップデート、またはパフォーマンス改善を含む新しいバージョンをリリースするようにしています。
すでにリリースされている機能(MainnetやTestnetでの最終テスト段階に入っています)には、新しいVMオペコード(STATIC_CALL,SHL,SHR,CREATE2)、新しいJSON RPCメソッド(eth_gasPrice,debug_traceTransaction)、新しいVMプリコンパイルコントラクト(HDWalletUtils、BlockHeader#HDWalletUtils BlockHeader#)、Unitrieなどがあります。これまでのリリースと変更に関する詳細なリストについては、https://github.com/rsksmart/rskj/releasesを参照してください。
RSKとRIFの現在の目的は何ですか?

ビットコインは価値の移転のための新しいインターネットの基礎を築く革命を起こしました。RSKはBitcoinの機能を基に構築されており、スマートコントラクトの実行を可能にします。RSKインフラストラクチャフレームワークオープンスタンダード(RIF OS)は、このビジョンをさらに推し進めています。これは、従来の開発者、組織、革新者が、分散したテクノロジーを利用して、繁栄した包括的な社会に必要なアプリケーションを開発できるようにすることです。
金融包摂は、私たちの心に深く響くものであり、日々私たちをやる気にさせてくれるものです。その理由の1つは、私たち全員が過去の経済危機や非効率で無能な政府が弱者に突きつけてきた課題を直接体験した世界の片隅にいるからです。この状況は、世界のほとんどの新興経済国で共有されており、適切な金融サービスを利用できるのは人口のごく一部にすぎず、その結果、改善の機会は大規模かつグローバルになっています。
IOV Labsは、オープンブロックチェーンベースの次世代インフラストラクチャーの促進と開発に重点を置いた目的指向の組織として運営されています。このインフラストラクチャーは、世界中の金融包摂を可能にし、新しいテクノロジーと大規模な導入のギャップを埋めるものです。私たちは、Bitcoinとその分散型ブロックチェーンテクノロジーが、価値の保存と移転のための分散型でプログラム可能な新しいネットワークの基盤となる可能性を持っていると考えています。
RSKは、人類の利益のために現在の暗号化システムを改善することに焦点を当てていますか?

現代の暗号方式は、非常に難しく形式化した科学分野です。zk‐SNARKS、zk‐STARKS、またはzk‐SHARKSなどのいくつかの新しい暗号方式は、RSKのセカンドレイヤースケーリングにおいて大きな可能性を秘めているといえるでしょう。しかし、まだ未熟であり、安全に使用するためには何年ものピアレビューと分析が必要です。この分析は、世界中の優秀な暗号研究者が行うのが一番良いでしょう。彼らの研究を奨励し、最終的には研究チームを拡大するための助成金プログラムを作るのがIOV Labsの役割だと思います。私たちがIOV Labsで実施している暗号化も適用されており、それは最良の既存ツールを組み合わせることで革新的な方法により帯域幅、計算および空間の間のトレードオフ改善を目指したものです。例えば、署名集約のための二重署名トランザクション技術を開発しました。これによって、過去の署名のスペースや計算において最低限の資源の消費ですむようになりました。
RSKはスマートコントラクトという点でどのような模範であろうとしていますか?
まず、私たちは世界で最も安全なスマートコントラクトプラットフォームであり、最近はビットコインネットワーク上のハッシュパワーの51%という最高点に達しました。セキュリティは私たちの大きな強みとなっていくでしょう。現状に甘んじず、今後もこの点を強化していきたいと思います。そして次に、ブロックチェーンの大量導入の前に立いはだかる壁の1つ、スケーラビリティはこれまでも、そしてこれからも重要な戦略目標の1つです。RSK研究所では、数ある新しい提案を検討し、様々なスケーリング方法に取り組み、問題解決に向かうためのソリューション開発に一生懸命に励んでいます。RIF Lumino Networkはこの目標に向けた重要なマイルストーンであり、私たちは圧縮チェーンスケーリングと呼ばれるブロックチェーンをスケーリングするための包括的で革新的なフレームワークも開発しています。これは、マイニング後にブロックを圧縮できることを意味します。このトランザクションの圧縮が、生成にコストがかかることを実行していると証明できると、VM1を持つブロックチェーンにとってかなり強力です。
1…コンピュータやマイクロプロセッサ(CPU/MPU)の動作を模した機能を実装し、まったく同じように振る舞うソフトウェア。また、そのようなソフトウェアによってコンピュータ内に構築された仮想的なコンピュータ。(引用: e-Words)
RSKでは、初心者もしくは新規参入者にスマートコントラクトのプログラムを学ぶことを勧めていますよね?
スマートコントラクトの開発には、特にセキュリティとスマートコントラクトを実施する分散的な環境に関連して、特殊性と注意事柄があります。また、現在も多くの作業が進められていますが、スマートコントラクトの開発者ツールはまだ成熟してはいません。
とはいえ、プログラミングの知識がほとんどない人でも、安全でスマートコントラクトを作成する方法を学ぶことは可能です。私たちが最近立ち上げたSan Francisco Innovation Studioは、よりよい素材と開発者向けツールを開発し、初心者にも使いやすいものにしたいと考えています。
RNSとは何かについて詳しく説明してもらえないでしょうか?

RIFネームサービス(RNS)は、人が読める名前またはエイリアスによるブロックチェーンアドレスの識別を可能にするアーキテクチャーを提供することで、ユーザーがより使いやすくするために設計されました。支払アドレスや通信アドレスなど、他の個人リソースを識別するために使用できます。
人間が読める名前に関連付けられた複数のリソースへのアクセスを一元化することで、ブロックチェーンプラットフォームのユーザーエクスペリエンスが向上します。「使いやすさ」という考えにそって、名前解決サービスもしくはエイリアスを追加することで、エラー発生の可能性が大幅に減少します。リソース名は時間の経過とともに変更される可能性があるため、システムは頻繁な変更に柔軟に対応できる必要があります。これまで、RIFネームサービスはRSKネットワーク上に構築されたアドレスのみをサポートしていましたが、現在、ユーザーは複数のタイプのコインとアセットを管理することができます。
RNSの詳細については、https://www.rifos.org/rif-name-service/を参照してください。
RSKとRIFの今後について
今後、ステーキングメカニズムを導入する予定ですか?導入するならばその機能はいつ頃リリースされますか?ステーキングには何本のRIFが必要ですか?
RIF Marketplaceは、他のRIFサービスのためのすべての担保とステーキングメカニズムを促進するサービスです。RIF Marketplaceでは、すべてのRIFサービスプロバイダーがサービスを提供し、その実績と評判をユーザーと共有します。サービスの質を保証するためにRIFトークンを提供してくださる方々による担保と保険があることによって、この評価は高められています。
さらに、すべてのRIFサービスはRIFトークンを使用して消費されます。RNSドメインは現在、RIFトークンを使用して取得されています。RIF LuminoテクノロジーはすべてのRSKトークンで利用可能で、RIFトークンはすでにLuminoに導入されており、ユーザーはRIFトークンに担保されたオフチェーン支払チャネルを開くことができます。さらに、RIF Paymentsは、トークン間およびブロックチェーン間支払いの担保としてRIFステーキングを使用します。RIF StorageとRIF Communicationsは、自社ネットワークのインセンティブメカニズムとしてRIF決済チャネルを利用します。RIF GatewayもRIFトークンを使用して購入でき、OracleプロバイダーはRIF MarketplaceでRIFトークンを使用してサービスの質を保証します。
貸借対照表とRIFがBTCの10分の1の価値で取引されているといった状況を考慮して、割安になってしまったRIFトークンを買い戻すことは検討していますか?
私たちは常に、長期的な目標を達成するためには何が最善かを分析しています。
次の主要な開発マイルストーンは何でしょうか?
私たちは最近、コミュニティ向けにマイルストーンを含むRSKロードマップを公開しました。
今回のアップデートは主にセキュリティを対象としています。また、Wasabi 1.0 .0のTestnetロールアウトフェーズにあり、RSKjの次のバージョンには、Unitire、新しいVMオペコード、トランザクショントレース方法など、いくつかの新機能と改善が含まれています。ロールアウトが完了したら、ロードマップの最初のいくつかのマイルストーンを達成します。Wasabi 1.0 .0の詳細については、https://www.rsk.co/noticia/wasabi-release-v1-0-0/を参照してください。
私たちはすでに第3四半期のマイルストーンに取り組んでおり、それはメタトランザクションやノード同期の改善のような非常に重要な機能が含まれており、どちらもより良いユーザーエクスペリエンスを目指しています。