RSKとLiquid比較:サイドチェーンの未来 (4/4)

コンセンサスプロトコル

Liquidのコンセンサス

Liquidのコンセンサス(合意形成)は、選択された管理機関の集まりによって実行されるPBFTバリアント¹をベースとしています。これら管理機関は、ラウンドロビン方式²に従って新しいブロックを生成し、2つの確認ブロックトランザクションが決済されたとみなされた後、順番に処理を行います。それぞれの管理機関たちはTorオーバーレイ・ネットワークを介して繋がっており、実際の地理的位置とIPアドレスは公開されていません。この機能はLiquidでは必須とされていますが、RSKではオプション機能として提供しています。

RSKのコンセンサス

RSKはSHA-256Dマージマイニングを使用しており、ビットコインと同様に確率的なトランザクション決済を管理機関に提供しています。現時点では、ビットコインマイナーの内30%~50%のマイナーたちがRSKのマージマイニングに参加しています。
LiquidとRSKどちらも、ブロックプロデューサーはブロックに含まれるトランザクションから発生する手数料で利益を得ています。Liquidでは、ラウンドロビン方式の副作用として、一定数のマイナーたちが共謀して他のマイナーのブロックを無視し、必要以上に頻繁にブロックプロデューサーになり、手数料のより高い割合を得ることができるといった点が指摘されています。しかし、この場合無視された管理機関によって不正が検出されるため、この攻撃方法をひそかに何度も実行することはとても困難です。RSKは、マイナー同士の競争よりも協力を奨励するために、手数料平準化のための共有マイニングアカウントとDECOR+報酬共有プロトコルを使用しています。

ビットコインに価値と機能を付加する方法であるマージマイニング・サイドチェーンは、その他のビットコインのスケーリング方法と一線を画すものです。なぜなら、過去に取り入れられそうになったブロックのエクステンションや、ブロックサイズを増やすためのハードフォークなどは当時非常な論争を巻き起こし、その致命的な短所を露わにしたからです。著名なビットコイナーであるPaul Sztorc氏は、「新たな機能[ドライブチェーンによる]は、既存の、より悪用されやすい機能を無効化する」と言っていますが、サイドチェーンについても同じことが言えます。最後に、マージマイニングには、ブロック生成が新規参加者に開かれているという利点があるため、フェデレーション管理機関のみが取引手数料を得るということはありません。

1…PBFTバリアント (Practical Byzantine Fault Tolerance Variant):「P2Pネットワーク上で、通信および個々のオブジェクトが故障または故意によって偽の情報を伝達する可能性がある場合に、全体として正しい合意を形成できるかを問う問題である」である「ビザンチン将軍問題」を解決することができるシステムをビザンチン・フォールト・トレランス (BFT) を持つと言われる。PBFTとは一部のノードに問題が発生する場合でも、問題なくコンセンサス形成ができる状態を意味する。PBFTバリアントとは、短い暗号鍵を使用してPBFT内のメッセージを短時間で署名/認証しながら、ブロックチェーンによる鍵配布メカニズムでこれらの鍵を定期的に更新するシステム。

2ラウンドロビン方式ネットワーク上で同等の機能を提供する複数のサーバ間で負荷分散(ロードバランシング)を行うため、外部からの接続要求を各サーバに順番に割り当てること。

独自トークン発行機能

LiquidとRSKは、ユーザーたちに独自トークン(アセット)を発行するサービスを提供しています。RSKベースのトークンは、Ethereumで一般的に使用されているERC-20トークン標準を使用して発行することが可能です。Liquidは、ユーザー発行トークンのネイティブ実装を提供しています。

どちらのプラットフォームでも、発行済みトークンはユーザー間で自由に交換することができます。しかし、Liquidは最近のUTXOセット、またはそれぞれのブロックヘザーの資産発行セットにコミットしていないため、Liquid上の発行済みトークンはライトクライアントとの互換性を持ちません。どちらのサイドチェーンでも、すべてのユーザーたちが独自トークンを発行、再発行、そして他のユーザーに送ることができます。ただし、RSKでは、トークン発行者も高級プログラミング言語で資産のオペレーションを定義することができるため、より自由度の高い操作を提供しています。高級プログラムを使用することで、RSKはセキュリティートークン、利息、デマレージ³、そしてほとんどのDeFiアイデアに対する配当金支払いをサポートすることができます。

どちらのサイドチェーンもRIF Lumino 決済(RSK)やLightning Network ported to Liquidのような、セカンドレベルの決済ネットワークをサポートすることができます。Luminoはもともとマルチアセット対応ですが、Lightningネットワークは現在のバージョンではマルチアセット・ノード、マルチアセット・リンク、マルチアセット・ルーティングをサポートしているとは思いません。

3…デマレージ(Demurrage):貨物の保管超過料金のこと。延滞料、滞船料とも。

取引、その他手数料

取引手数料

RSKの取引手数料は現在、Liquidより約10倍ほど安い価格に設定されています(RSK/Liquidの手数料:$0.0066/$0.1)。これは、RSKトランザクションサイズがLiquidトランザクションよりも5倍小さいという事実で一部説明することができます。ただし、安価なトランザクションというものは、もろ刃の剣となる可能性があります。これによりブロックチェーンのサイズが通常のユーザー数の許容範囲を超えて増加し、P2Pネットワークが中央集権化する可能性があるためです。

フェデレーション加入手数料

Liquidフェデレーションに加入し管理機関となるには、ブロックストリーム社に月額料金を支払う必要があります。RSKフェデレーションのメンバーは料金を支払いませんが、メンバーになるには、セキュリティ標準に従う必要があり、決められたアップタイムを維持する必要があります。

サイドチェーンの未来

RSKのホワイトペーパーでは、RSKのロードマップと不変性と検閲耐性に関するコミュニティの合意を確立しています。いくつかの新機能には、Unitrieストレージモデルへの切り替えや、ストレージ・レンタルシステムの取り入れが含まれています。RSKリポジトリでは、2016年以降から続く継続的な改善と、ハードフォークによるいくつかのネットワーク・アップグレードを確認することができます。

RSKホワイトペーパーが述べている重要な情報の内一つは、ビットコインがコミュニティーによるソフトフォークを採用する準備が整ったときに、ドライブチェーンのような、より分散化されたツーウェイペグ・システムに移行する意図を述べていることです。RSK LabsはドライブチェーンBIPとリファレンス実装を作成し、ビットコインコア開発者が将来、利用する可能性があります。

4…ドライブチェーン:メインチェーンから他のソフトウェア・アプリケーション(サイドチェーン)へのBTCの行き来を自由にする機能。

まとめ

RSKは、金融包摂の要となることを目的とし、分散金融(DeFi)の実現に焦点を当てているサイドチェーンです。そして、Liquidは取引所に共有の流動性を提供するために設計されたサイドチェーンのプラットフォームです。Liquidはプロトコルのシンプルさ、セキュリティー、およびプライバシーに焦点を当てています。まとめると、RSKの目的は、より広範囲なユースケースを実現させることであり、Liquidは非常に効率的な1つのユースケースを提供することなのです。
RSKは、ステートフルな仮想マシンを採用することで、さらなるオープン性とプログラマビリティを提供し、Liquidは任意のコード実行よりも簡潔な検証を優先します。
RSKはEthereumと互換性があるため、EthereumのdAppsおよびツールをRSKに容易に移植でき、オープンソースリソースの大規模なプールにアクセスできます。Liquidは開発者がブロックストリーム社独自のライブラリを利用して、そのプライバシー機能を利用することを要求していますが、現在のところ、それに代わるコミュニティーは存在していません。
どちらのサイドチェーンも、経験豊富な開発チームによって維持されています。Liquidはブロックストリーム社の支援を受けており、RSKはIOV Labsの支援を受けています。
両サイドチェーンは、それぞれのフェデレーションに著名な取引所が参加しており、それらのサイドチェーントークン(RBTCとLBTC)は現在、いくつかの大手取引所で取引されています。
私たちはビットコインの新しい未来の創造を目撃しており、それはビットコインのチェーン容量によって制限されるのではなく、Lightning Network、Liquid、RSKによって拡大されているのです。
この記事をレビューし、有益なフィードバックを提供してくれたブロックストリーム社のアダム・バック博士に感謝します。

原文:The Cutting Edge of Sidechains: Liquid and RSK by Sergio Lerner